教育業界の出版物などを読むと「自己効力感(self-efficacy)」という言葉をよく目にします。これはカナダの心理学者アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)が重視した概念で教育心理学にも強い影響を与えました。バンデューラはボボ人形実験でも有名で...
難しい話は置いておいて(笑 簡単に説明すると「やればできる」といった気持ちを持つことです。これは本当に重要だと思います。本当に... バンデューラさんは自己効力感を持つためには4つの要素が必要だと言っていて
① 成功体験を持つこと。これは当たり前ですが、やっぱり一番大事なことです。松尾塾では、小学生から通ってくれている生徒さんの中学1年生の1学期の定期テストの点数を取らせることを強く意識しているのですが、結果を残した生徒の勉強に対する勉強に対する取り組みは全く変わってきます。1年生の1学期で結果を残せば、そのあとは大抵順調に進みます。これが教育心理学的に言うと自己効力感が高まっている状態なのだと思います。
途中入塾組で時々、すごい状態で入塾してきてくれる生徒さんがいるのですが、その場合は、まずは1科目の点数をドーンと上げることを意識します。大抵は、即効性が期待できる数学の点数を上昇させます。[昨年度で一番点数が低い状態で入塾してくれた子が29点(入塾前)→67点(入塾一回目)→86点(入塾二回目)でした]。他にも学校の小テストなどがあった時は、小テストで満点を取ってもらうことなどから始めることも多いです。更に小さなレベルでは、塾で一回目にやった間違えだらけの問題をこちらで保管しておいて、繰り返し同じ問題をやってもらって満点が取れるようになった時に、それを見せて「すごいなぁ」とボソッとつぶやいたりと... 色々と考えて行っています(笑
②代理体験。自分ではない誰かが成功しているところを目撃することでも「自己効力感」を身につける契機になるとバンデューラさんは言っています。「自己効力感(やればできる感)」が低下しているのは、度重なる失敗から「自分は何をしてもダメなんだ...」となっている状態です(教育心理学用語で言うと学習性無気力)。その為、他の人の成功体験を見ることによって自分もやれば出来るんだと思えるという事です(この際に類似性がある。自分の能力に近いと考える人間の成功であればより良いと言われています) 他にも自分は、過去の成功例を伝えるようにしています。「先輩は夏にこのテキストを徹底的にやり込んで国立高校に受かったんだよ。多分、このテキストが合格した理由」「先輩は、比べるわけじゃないんだけど〇〇くんより全然ダメな状態から勉強を始めて、最初のうちはこのテキストを1ページ5回くらい繰り返し毎日やってもらった。そうしたら定期テストの点が40点くらいあがって...」といった具合です。
③褒められた経験。これも当たり前ですよね。生徒の場合は、周りの大人から褒められた経験。自分は、効果的な褒め方があると思っていて... これはまた別の機会にまとめてまとめてみようと思います。
④最後に心身ともに健康であること。これは三鷹地域だとご家庭にお任せしてしまって大丈夫なことだとは思うのですが(少し都心から離れた学校などに行くと強く意識しないといけないことだったりするのですが...)表情を見て、学校でなにかあったかな?と思ったりしながらメンタルコンディションを考えながら授業を進めることはよくあります(少し、こじつけですが)
自己効力感についてまとめてみたのですが、自分は大学のテスト対策でアルベルト・バンデューラについて学んで存在自体しばらく忘れていました。実際に授業を進めていく中で、「やる気を失っている子」に対して効果的だと思うことを色々と試していく中で身についた経験、それが読み返した際に「あ、バンデューラもこう考えてたんだ」と思うことがよくあります。一見、いやいや勉強していたことでも、将来役に立つ可能性があるんだと言うことを生徒には伝えていきたいと考えています。